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2022.08.28
1級施工管理技士は、建築の施工管理を行う国家資格です。
本記事では、1級施工管理技士の難易度、勉強方法や合格率について解説していきます。
建設業界に従事されている方や、これから1級施工管理技士の資格取得を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
1級施工管理技士とは
1級施工管理技士とは、建設現場における工事をとりまとめる監督者です。ここでは、1級施工管理技士の役割や、1級と2級の違いなどについて説明していきます。
1級施工管理技士の役割
1級施工管理技士は、建設現場における施工計画、工程管理、品質管理、安全管理を担います。
名称が似ている国家資格に「1級建築士」がありますが、ゼネコンにおいて、1級建築士は設計監理のスペシャリスト、1級施工管理技士は施工管理のスペシャリストとして認識されています。
時として相反する、施工計画、安全管理、品質管理、工程管理の調整を行いつつ、納期までに工事を完成させる高度なマネジメント力や技術力が求められます。
1級施工管理技士の1級と2級の違い
1級施工管理技士と2級施工管理技士の違いには、担当できる業務の範囲に違いがあります。
1級施工管理技士は、主任技術者・監理技術者として配置することができるため、大規模な建設現場に携わることが可能であり、あらゆる分野の仕事を担うことができます。
これに対して、2級施工管理技士では、主任技術者として配置することが可能です。主任技術者とは、外注総額が4,000万円未満の元請業者や下請に入る建設業者が、現場に配置する必要がある技術者です。
小規模から中規模の現場責任者として業務が行えるため、通常の施工管理者よりも幅広い業務に従事できます。
しかし、外注総額が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)の現場では、1級施工管理技士の資格取得が必須となります。
1級施工管理技士試験の内容は?
1級施工管理技士試験の内容は、令和3年度の建設業法改正に伴い、試験形式や問題構成が一部変更されています。
ここでは、1級施工管理技士試験の試験内容について、1次検定と2次検定とに分けて紹介していきます。
1級施工管理技士の1次検定
1級施工管理菱の1次検定は、学科試験が行われます。
試験時間は、午前の部が2時間30分、午後の部が2時間となっています。
1次検定の試験内容は、建築学(環境工学、各種構造、構造力学、施工共通、躯体工事、建築材料、仕上げ工事)、施工管理法、法規などから出題されます。
また、回答形式は全て四肢択一形式であり、正解または間違いを選択して回答します。
1級建築士を取得している場合、1次検定を免除されるため、2次検定からの受験となります。
1級施工管理技士の2次検定
1級施工管理菱の2次検定は、実地試験が行われます。
試験時間は、3時間となっています。2次検定の試験内容は、実務経験における建築全般の応用力を求める観点から出題されます。
また、回答形式は全て記述式であり、1次検定とは異なり回答の選択肢が用意されていません。そのため、文章・語句・数値などを用いて、実際に文章を記述して回答していきます。
1級施工管理技士試験の難易度は?
ここでは、1級施工管理技士の難易度について、1次試験と2次試験とに分けて解説していきます。直近5年間の受験者数・合格者数・合格率の推移は、下表のとおりです。
一次(令和2年度までは学科) | 二次(令和2年度までは実地) | |||||
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
2017 (平成29)年 |
24,755 | 9,824 | 39.7% | 16,505 | 5,537 | 33.5% |
2018 (平成30)年 |
25,198 | 9,229 | 36.6% | 15,145 | 5,619 | 37.1% |
2019 (令和元)年 |
25,392 | 10,837 | 42.7% | 15,876 | 7,378 | 46.5% |
2020 (令和2)年 |
22,742 | 11,619 | 51.1% | 16,946 | 6,898 | 40.7% |
2021 (令和3)年 |
22,277 | 8,025 | 36.0% | 12,813 | 6,708 | 52.4% |
1級施工管理技士試験の1次検定
1級施工管理技士試験の1次検定について、令和3年度の受験者数は22,277人、合格率は36.0%でした。
全体的な難易度については、これまでに実施された試験の難易度と比較して大差はありませんでした。
出題傾向の変化について、対策をしっかり講じることができていたかが、合否を大きく分けたかと思います。
1級施工管理技士試験の2次検定
1級施工管理技士試験の2次検定について、令和3年度の受験者数は12,813人、合格率は52.4%でした。
2次検定では、自らの実務経験に基づき、施工計画時に着目した項目について工種名をあげて具体的に記述する内容が出題されます。
細かな記述が必要となるため、文章の記述力を高める対策が重要になります。
1級施工管理技士試験に合格するには?
ここでは、1級施工管理技士試験に合格するための勉強方法について紹介していきます。
1級施工管理技士試験に合格には、継続的な勉強が必要不可欠です。
スキマ時間を有効活用したい方や、独学で合格を目指す方は参考にしてみてください。
参考書・過去問を活用する
1級施工管理技士試験の勉強は、参考書・過去問を中心に進めていきましょう。
1級施工管理技士の参考書は毎年発行されており、直近試験の出題傾向を踏まえた練習問題が多く掲載されています。
まずは、参考書を使用して知識のインプットを効率的に行いましょう。そして、参考書の内容が身についてきた段階で、過去問を使った演習を行いましょう。
参考書で身に付けた知識をアウトプットし、試験本番での出題形式に慣れることで、より実践的な力が身に付くでしょう。
苦手分野を作らない
1級施工管理技士試験では幅広い知識を問われるため、苦手な分野についても網羅する必要があります。苦手分野の勉強に重点的に取り組み、バランスのよい実力を身に付けるようにしましょう。苦手分野の克服には地道な反復練習が最大の近道です。
参考書や過去問を使用して粘り強く取り組みましょう。
模擬試験を受ける
1級施工管理技士試験の受験勉強の総仕上げとして、模擬試験に挑戦してみましょう。
参考書の文章で理解していたつもりでも、実際の試験問題になると答えられなくなるケースも少なくありません。
1級施工管理技士試験の合格には、模擬試験や過去問を解くことで、試験問題に慣れることも重要なのです。
また、模擬試験では本番同様に回答時間を測って受験します。
実際の試験時間内に問題を解き切る力も身に付くため、勉強の総仕上げとしては最適です。
1級施工管理技士試験の1次検定合格のポイント
1級施工管理技士試験の1次検定は、施工や建築材料についてある程度の知識がある方にとっては、比較的取り組みやすい内容となっています。
しかし、正確な名称や細かい数値基準について問われますので、日々の業務で使用している名称などではなく、正式な名称や数値を回答する必要があります。
また、構造力学や関連法規については苦手意識がある方も少なくありません。
しかし、構造力学の基本的な内容や、建設業法の法規、建築基準法や労働安全衛生法等の限られた範囲から出題されているため、過去問を繰り返し解くことで十分に対応できます。
1級施工管理技士試験の2次検定合格のポイント
1級施工管理技士試験の2次検定は、自らの建築施工管理経験に基づいた文章記述が必要となります。
そのため、試験管に対して自分が伝えたいことを、分かりやすい文章で伝える記述力が重要となってきます。
文章を書きなれていない方は、模試や添削の受講を通じて、改善を繰り返す必要があります。
試験までにどれだけ多くの文章を書く練習をしたかが、合格につながります。
施工管理技士試験の受験資格が緩和された
施工管理技士試験の受験資格は、2021年4月より緩和されました。これにより、学科試験の名称が「1次検定」に、実地試験の名称が「2次検定」に変わりました。
また、1級施工管理技士の1次検定における受験資格も緩和され、2級施工管理技士の合格者は5年間の実務経験が不要になり、合格した翌年に1級施工管理技士を受験することができます。
ただし、2次検定の受験においては、2級施工管理技士の合格後5年以上の実務経験が必要であるため注意が必要です。
技士補の新設
施工管理技士試験の1次試験に合格することで、新設された資格である「技師補」が付与されます。
技師補を取得すると、監理技術者補佐として従事することが可能になります。
監理技術者補佐とは、監理技術者の職務を補佐する者として、工事現場に専任で置かれる技術者のことをいいます。
1次検定が無期限有効に
技師補の資格が付与されることで、1次検定の合格が無期限有効となり、2次検定を何度でも受験できるようになりました。
緩和前に比べて、施工管理技士試験へ挑戦しやすい環境となっており、資格取得を目指す方にとっては大きなチャンスといえるでしょう。
まとめ
本記事では、1級施工管理技士の難易度、勉強方法や合格率について解説してきました。
建設業界で働く方にとって、1級施工管理技士を取得することは多くのメリットがあります。
モチベーションを維持して勉強時間を確保し、地道に参考書や過去問を解いていくことが、合格への最短の近道です。
1級施工管理技士試験は、独学でも対応可能な試験であり、まとまった勉強時間を確保して繰り返し問題を解くことで、必ず合格できる資格です。
建設業界に従事されている方は、将来のキャリアアップを視野に入れ、ぜひ資格取得に挑戦してみましょう。