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2022.04.25
施工管理の国家資格には、「管工事施工管理技士」と呼ばれる資格があります。
管工事施工管理技士は、配管工事のスペシャリストとしての資格ですが、仕事内容や資格を取得するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
本記事では、管工事施工管理技士の概要や取得するメリットについて詳しく解説していきます。建設業界に従事されている方や、資格の取得を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
管工事施工管理技士とは?
管工事施工管理技士は、施工管理技士国家資格の一つです。国土交通省の管轄により、配管工事のスペシャリストであることを証明します。
管工事とは、具体的には冷暖房や空調、上下水道などの設備配管工事を指します。建築物には管工事が必要不可欠であるため、仕事の需要は高いといえるでしょう。
仕事内容
管工事の仕事内容は、主にパイプやダクトを各設備に配置することです。管工事施工管理技士は、このような工事現場において、施工・工程・安全の管理に従事します。
管工事は、建物の規模に比例して、配管の種類が増え複雑な工事となります。
配管工事のミスは大きなトラブルにつながる恐れがあるため、詳細な施工計画や工程管理、作業の安全確保が求められます。
管工事の種類
管工事には、「空気調和設備工事」「冷暖房設備工事」「冷凍冷蔵設備工事」「浄化槽工事」「ガス管配管工事」「厨房設備工事」「ダクト工事」など多くの種類があります。
管工事の代表的なものとして、冷暖房設備工事と空気調和設備工事があります。冷暖房設備工事とは、冷房と暖房を必要時に切り替えられる設備を設置する工事を指します。家庭用・業務用エアコンなどの室外機・室内機の据え付け、配管配線工事などが該当します。
また、空気調和設備工事とは、空調設備の新規取付、交換作業、メンテナンスなどの工事を指します。空調とは、室内の空気を循環させ、温度と湿度を適切に調整することをいいます。
管工事施工管理技士を取得するメリット
管工事施工管理技士は1級と2級に分かれており、それぞれの級によって取得するメリットが異なります。
1級を取得した場合、特定建設業の専門技術者、一般建設業の主任技術者や監理技術者になることができます。また、2級を取得した場合、一般建設業の専任技術者や主任技術者になることができます。
管工事施工管理技士の資格を持っていなくても、管工事の仕事に従事することは可能です。しかし、将来的なキャリアアップには資格の取得が必要となるでしょう。また、公共工事や競争入札においては、資格が技術力の証明となります。資格を取得することで会社にとってもメリットがあるため、昇給や昇進に有利に働くでしょう。
専任技術者・監理技術者になれる
管工事施工管理技士を取得すると、専任技術者や監理技術者になることができます。専任技術者とは、都道府県知事が許可した管工事業において、営業所に配置しなければならない技術者のことを指します。
また、監理技術者とは、建築一式工事で総額6,000万円以上、それ以外の工事で4,000万円以上の大規模工事において、現場に配置する必要のある技術者を指します。
その他、主任技術者とは、監理技術者が不要な中小規模の工事に配置する必要のある技術者を指します。
転職に有利
管工事施工管理技士を取得することで、転職活動を有利に進めることができます。管工事は建築物に必要不可欠な工事であるため、管工事施工管理技士の需要は高いです。
管工事施工管理技士の主な転職先には、サブコンが挙げられます。サブコンとは、ゼネコンの下請けとして設備工事を請け負う企業を指します。設備工事全般を扱う場合もあれば、衛生設備や空調設備など、特定の分野のみを請け負う会社もありさまざまです。
他の資格を取得しやすい
管工事施工管理技士を取得することで、浄化槽設備士・給水装置主任技術者の資格が取得しやすくなるメリットがあります。浄化槽設備士とは、し尿や雑排水の浄化槽設備において、営業所ごとに配置する必要がある資格です。
管工事施工管理技士を取得すると、資格講習会を受講する権利が与えられ、受講後に免許の申請が可能となります。
給水装置主任技術者とは、水道管の配置や修繕などの工事に必要な資格です。管工事施工管理技士を取得すると、試験科目が2科目免除となるため、一般の受験者よりも有利に試験を進めることができます。
管工事施工管理技士の受験について
管工事施工管理技士を取得するには、国土交通省が管轄する「管工事施工管技術検定」という国家試験を受ける必要があります。
令和3年度からは「技師補」が新設されており、資格の価値はますます高まっています。
試験概要、出題内容
管工事施工技術検定は、第一次検定と第二次検定に分かれています。
第一次検定は、マークシート形式により知識・能力について出題されます。機械工学や施工管理法の知識、法規の知識に加えて、施工管理を的確に行うために必要な能力も問われます。
第二次検定は、記述形式により施工管理法の能力や、監理技術者や主任技術者として必要な知識が問われます。
いずれも、令和3年度の改正により、旧制度の学科試験とは内容が異なる点に注意が必要です。
1級管工事施工管理技士の受験資格
1級管工事施工管理技士の受験資格は下表の通りです。
【1級管工事施工管理技士・第一次検定】
区分 |
学歴あるいは資格 |
管工事の実務経験年数 |
||
指定学科 |
指定学科以外 |
|||
A |
大卒 専門学校卒(高度専門士) |
卒業後3年以上 |
卒業後4年6ヶ月以上 |
|
短大卒・高専卒 専門学校卒(専門士) |
卒業後5年以上 |
卒業後7年6ヶ月以上 |
||
高卒・中卒 専門学校卒(高度専門士・専門士以外) |
卒業後10年以上 |
卒業後11年6ヶ月以上 |
||
その他 |
卒業後15年以上 |
|||
B |
技能検定合格者 |
卒業後10年以上 |
||
C |
高卒・中卒 専門学校卒(高度専門士・専門士以外) |
卒業後8年以上の実務経験 (実務経験の中に指導・監督的な実務経験と、5年以上の実務経験ののち専任の監理技術者の指導を受けた実務経験2年以上を含む) |
||
D |
専任の主任技術者の実務経験が1年以上 |
高卒・中卒 専門学校卒(高度専門士・専門士以外) |
卒業後8年以上 |
卒業後9年6ヶ月以上 |
その他 |
13年以上 |
|||
E |
2級合格者 |
(一般財団法人 全国建設研修センターより引用)
2級管工事施工管理技士の受験資格
2級管工事施工管理技士の受験資格は下表の通りです。第一次検定は、年齢以外の受験資格は設けられておらず、幅広い人を対象として受験可能です。
【2級管工事施工管理技士・第一次検定】
受験年度中での年齢が17歳以上なら受験が可能です。
【2級管工事施工管理技士・第二次検定】
学歴あるいは資格 |
管工事の実務経験年数 |
|
指定学科 |
指定学科以外 |
|
大卒 専門学校卒(高度専門士) |
卒業後1年以上 |
卒業後1年6ヶ月以上 |
短大卒・高専卒 専門学校卒(専門士) |
卒業後2年以上 |
卒業後3年以上 |
高卒・中卒 専門学校卒(高度専門士・専門士以外) |
卒業後3年以上 |
卒業後4年6ヶ月以上 |
その他 |
卒業後8年以上 |
|
技能検定合格者 |
卒業後4年以上 |
(一般財団法人 全国建設研修センターより引用)
管工事施工管理技士の受験資格緩和について
令和3年度の改正により、受験資格が緩和されています。第一次検定は2級の第二次検定合格の翌年から受験可能です。第二次検定は、第一次検定に合格後5年以上の実務経験が必要です。
また、2級管工事施工管理技士の第二次検定の合格者の場合、1級の第一次検定の受験資格は不要です。その他、これまでの学科試験が「第一次検定」、実地試験が「第二次検定」と名称が変更されました。
加えて、第一次検定の合格者に対しては、新規資格である「技師補」が付与されます。技師補が付与されることで、第二次検定の受験次に第一次検定が免除されます。
管工事施工管理技士の年収は?
ここでは、管工事施工管理技士の年収について紹介します。管工事施工管理技士の年収は、1級か2級かによって異なるため、それぞれの違いを踏まえて見ていきましょう。
1級・2級で年収が違う
管工事施工管理技士の年収は、1級か2級かによって異なってきます。
1級の場合、大規模工事に必要な監理技術者に従事できることや、公共工事における経営事項審査での評点が高いことなどから、2級に比べて高い年収となっています。管工事施工管理技士の年収目安は、1級の場合は400万円~750万円、2級の場合は300万円~600万円程度とされています。
1級管工事施工管理技士の方が給料・年収が高くなる
管工事施工管理技士の年収は、1級管工事施工管理技士の方が高くなる傾向にあります。公共工事の競争入札に参加する場合、経営事項審査を受ける必要があります。1級管工事施工管理技士は、この経営事項審査において5点が加点されるため、待遇を良くする企業が多いのです。
また、令和3年度の改正により新設された「1級技師補」と「2級管工事施工管理技士」を保有している者は、4点が加点されるため、同様に待遇面の向上が期待されます。
給料・年収をアップするコツ
管工事施工管理技士で給料・年収をアップするコツは、常に新しい知識を吸収することです。建設業界は新しい技術が次々と生み出され、日々進化を続けています。これまでの知識や経験に固執するのではなく、新たな知識や技術を積極的に学び続けることで、社内外の評価の向上に繋がります。加えて、高い技術力を身に着けることで、大手ゼネコンへの転職などにおいても有利に働きます。大手ゼネコンの給料は、建設業界の中でもトップクラスであり、大幅な年収アップが期待できます。
まとめ
本記事では、管工事施工管理技士の概要や取得するメリットについて解説してきました。
管工事はあらゆる建築物に欠かせない工事であり、管工事施工管理技士の需要は高いです。資格がなくても管工事に従事することが可能ですが、取得により昇給・昇進に繋がる、転職活動を有利に進められるといったメリットがあります。
また、令和3年度より受験資格が緩和されていることから、これまでよりも資格の取得に挑戦しやすくなりました。管工事施工管理技士の取得はキャリアアップにつながりますので、ぜひ資格の取得を検討してみてください。